テーマ: ラボより
肥満大敵!卵子や精子にも大事なBMI
こんにちは、培養士です。
先日、日本受精着床学会に参加・発表しました。
私の発表内容はマニアックな話ですので、置いといて…。
他施設から妊娠とBMIとの関係について発表がありました。
当院でもBMIのコントロールは治療の一環と考えています。
赤ちゃん作りにはBMI 22がベスト、
最低でもBMI 25を下回ることをお勧めしています。
いい機会ですので高いBMIは不妊治療の
どんなところに影響するか調べてみました!
探してみるとやはり、女性のBMIが高いことは体外受精を行っても
妊娠率・出生率の低下、流産率の上昇を引き起こすことが
たくさんの論文から報告されています。
じゃあBMIが高いってどのくらいよ?
BMI 30以上はかなりアウトです
BMI 25以上 も BMI 25未満の方と比べると同じく結果に悪影響を与えます。
さらには妊娠した後も高BMIは
妊娠高血圧症候群、脂質異常症、妊娠糖尿病リスクの増加
などなど良いことは一つも見つけられませんでした
BMIを適正に保つということには妊娠にとってすごく重要なことなんです。
怖いですよね、痩せましょう!
じゃあ妊娠した後にしか影響ないのかな?
そんなことはありませんでした。
女性の高いBMIは月経周期の乱れ、排卵異常のリスクが上がります。
通常であれば月一回チャンスがある自然妊娠も
チャンス減
いつがチャンスか分からない
となってしまいます。
体外受精に進んでもFSHなどのホルモン剤が効きにくい、
発育卵胞 (卵子が入っている袋)の減少、採れる卵子が少なくなる、
一部では、受精率も低くなるとの報告もあります。
良いことはありません
不妊治療にも大事なんですね、痩せましょう!!
ふぅん、じゃあBMIって奥さんだけが影響あるの??
女性だけではなく男性もBMIの上昇は大敵です。
BMI30以上の男性ですと
奥様の自然妊娠、体外受精どちらの妊娠率・出生率も低下しています。
高BMI男性は、精子濃度や精子運動率に影響が出ることもありますが、
普通に精子がいることも多いです。
でもいればいいってもんじゃありません。
一つ一つの精子を見ると ”適性BMIマン” とは違ってきます。
例えば、精子の形が異常であったり、
DNAへ傷 (fragmentation)を負っている割合が高くなります。
つまりは人数はいるけどイケメンも金持ちもいない合コン状態です。
魅力減です
これらは顕微授精を使ったとしても
成功率に影響が出る可能性があるでしょう。
男性もBMIは大事ですね、痩せましょう!!!
ということで、今回の調査結果
『妊娠したいなら夫婦どちらも肥満は大敵』
です
もちろん痩せすぎも良くはありません。
大事なことは適性BMI (22)を保つことです
でもでも自分で頑張っても痩せられないんです…
とお悩みの方もたくさんいらっしゃると思います。
この度当院では、院内管理栄養士による
“栄養相談” を始めさせて頂くことになりました!
ひとりで減量は心が折れそうだな…
そんな方は是非、今できることから一緒に頑張ってみませんか?
少しでも気になった方は、下記画像をご覧ください♪
今回参考にした論文
・Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine Fertil Steril. 2015
・Rittenberg V. Reprod Biomed Online. 2011.
・Campbell JM. Reprod Biomed Online. 2015.