テーマ: ラボより
日本A-PART学術講演会参加報告
先日、東京で行われた、日本A-PART学術講演会に参加してまいりました。
3月の下旬に行われたのですが、とても気温が低く、桜もまだ咲き始めでした。
以前こちらのブログでも載せていました、第36回日本受精着床学会総会・学術講演会では、外気温の変化が精液所見と体外受精に与える影響について発表してきました。
今回の学会では、その後移植した胚の臨床成績(妊娠率、流産率)について、ポスターで発表しました。
精子は高温や低温に弱く、冬の寒い時期に精液カップを持参すると、精液が冷え、精子の状態や受精卵の成長にも影響を与えるのではないかと考え、検討しました。
冬季(12月~3月)では夏季(6月~9月)に比べ、
精子の運動率(*1)と良好胚盤胞発生率(*2)が低いことが分かりました。
(*1)精子の運動率・・・精液中の動いている精子の割合
(*2)良好胚盤胞発生率・・・細胞の数や密度が良好な胚盤胞に育った割合
この結果をうけて、冬季に精子を持参した場合に、臨床成績(妊娠率、流産率)に影響があるのではないかということで検討しました。
その結果、冬季(12月~3月)、夏季(6月~9月)にIVFを行い、良好胚盤胞を1個移植した場合の妊娠率、流産率に差はありませんでした。
これらのことから、良好胚盤胞になれば、冬季に精子を持参したとしても、妊娠率や流産率に影響をえないことが分かりました。ただし、精子の運動率、良好胚盤胞発生率が低くなってしまうことが分かっていますので、出来るだけ冷やすことなく持って来て頂きたいです。
当院ではSEEDPODという保温器を販売しています。
SEEDPODの中とカップを常温にしてから、精液を採取することで、寒い時期でも精子を冷やすことなく持参することができます。
詳しくは、ブログの体外受精のはなし「精子を冷やさないために」をご覧ください。
4月になりましたが、早く桜が咲くと良いですね。
培養士 結城