こんにちは、岸田です。
前回、前々回と受精障害についてお話ししてきました。
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さて今回は、レスキュー顕微授精について。
当院では新たに導入を開始しています。
どんな方法かといいますと
まずは、精液検査で精子状態に問題がないことを確認し
通常体外受精を行います。
その結果、卵子に受精の兆候が見られなかった場合
その卵子に顕微授精を行う(=レスキュー顕微授精)
ことをいいます
▶受精方法の種類って?
通常体外受精のメリットは、
女性の体内で起こる受精とほぼ同じであることです。
より自然な受精に近いといえます。
ところが受精障害がある場合
体外受精では受精が困難で、大部分~全てが受精しません。
▶受精障害って?
レスキュー顕微授精は、
通常体外受精を行って
万が一受精障害などが原因で、受精卵が得られないということを
防ぐための方法です。
(レスキュー顕微授精を行った卵子の受精率は、通常の顕微授精とほぼ同じと言われています)
当院では、蓄積されたデータや研究結果を基に
受精兆候の判定や実施基準を設けています。
(1)受精兆候の判定
判定は、卵子の観察に慣れた胚培養士が行います。
通常体外受精で受精している卵子にさらに顕微授精で精子を入れるという
ことがないように判定は時間をずらして2回行います。
当院ではタイムラプスインキュベーターを用いて、受精兆候の判定を
行っています。
(2)卵子のエイジング
採卵翌日に受精の確認をおこないます。
しかし、受精観察後にレスキュー顕微授精を行っては、卵子が既に老化
してしまっていて、順調に発育してくれません。いかに早く受精の兆候を
見つけてレスキュー顕微授精するかがポイントです。
当院では、当日中(夕方ごろ)にレスキュー顕微授精を行います。
これにより卵子の老化はほぼ起こらない考えます。
ただし、なかには
レスキュー顕微授精を行っても受精障害となる場合があります。
精子が卵子の中に侵入した後に、
卵子が精子の侵入に気づけない場合があるためです。
レスキュー顕微授精の導入によって、1個でも多くの受精卵ができ、 治療が円滑に進むことを願っております。
ご質問やご希望がございましたら
診察中等にお申し付けください。
医師または胚培養士の方で対応いたします。
長文お読みいただきありがとうございました。