テーマ: ラボより
体外受精ってマイナー?
朝が暗くて寒くて起きれないなぁと思っていたら、もう師走でした。
今年最後のブログ(たぶん)は、日本産科婦人科学会が
出していた報告をお伝えします。
高度生殖補助医療(ART)いわゆる体外受精の実施施設は、
実施数を全て日本産科婦人科学会へ報告しています。
(もちろん個人を特定できないようになっています)
2020年になって2018年のART件数が出ていました。
詳しく知りたい方は日産婦の報告へ
【日本産科婦人科学会雑誌第72巻第10号】
このブログでは3つのグラフだけ紹介したいと思います。
グラフをもっと見たい方はここへ
【ARTデータブック】
年別治療周期数のグラフ(タップorクリックで拡大表示されます)
↑ART治療がどれくらいされているのかを示すグラフです。
2016年あたりから治療数はさほど増えていません。
全国的にみると体外受精より顕微授精の方が多いみたいです。
年別出生児数のグラフ(タップorクリックで拡大表示されます)
ARTによって出生した児の数を示しているグラフです。
日本は圧倒的に凍結融解胚移植由来の出生児が多いです。
実は日本の胚凍結技術は世界最高レベルです。
妊娠率も凍結融解胚移植の方が高いので日本では胚凍結の方が多いです。
2018年のART由来の出生児数は56,979人、
2018年の全体の出生児数は918,400人。
なんと16.1人に一人がART由来の出生児です。
と言われてもピンときません。
よく言われるのは1クラスに2人いるって例に挙げられます。
あとはAB型の人の割合が10人に1人程度です。
ART由来の子はAB型よりも少し珍しいかな?っていうくらいです。
そう考えるとARTは身近な治療だと思いませんか?
菅義偉総理には保険適応の立案、頑張っていただきたいです。
年齢別の治療周期数のグラフ(タップorクリックで拡大表示されます)
日本は40歳の治療数が一番多い様です。
36歳くらいから妊娠率が落ち、
流産率が高くなる現状を考えると、日本の治療年齢は高めです。
年齢要因が大きいと考えられますが、治療人数に対して出産数は少ないです。
ちなみにアメリカは日本より治療年齢は低く、
年齢が高い女性には卵子提供が一般的に行われています。
ドナー卵子による治療では年齢が上がっても妊娠率は横ばいです。
担当者の英語力は拙いので皆さんこちらで確認してみてください。
【2016年のアメリカのARTレポート】
日本でも卵子提供は細々と行われているようですが…
海外で卵子提供を行うためのエージェントもけっこうあるようです。
日本の治療年齢を考えると、
卵子提供はもう少し盛んになってもいいのになぁと思います。
(↑星条旗を掲げる自由の国寄りの倫理観を持つ担当者の個人的意見です)
今年はコロナコロナコロナで、新しい発見が多い年でしたが我慢も多かったです。
来年はコロナが収束するといいですね…。
少し早いですが皆様方がよいお年をお迎えできるように祈っております。