学術集会、略して「学会」では様々な発表があります。
学会は、新しい知見や技術を仕入れ、
自分たちの考え方や技術の確認、いやいやそれはちょっと違うんじゃない?
なーんてことを考えながら見たり聞いたりしてお勉強をする場所です。
日本卵子学会では多くが受精卵や卵子の話題なのですが、
今回、ちょっと毛色の違うおもしろい発表があったのでご紹介。
皆さんは「揮発性有機化合物(VOC)」って知ってますか?
Wikipedia先生にお尋ねしたところ・・・
『常温常圧で大気中に容易に揮発する
有機化学物質の総称のことである。』
ということでした。
え?
恥ずかしながら、無学な私はこんな状態でした。
でも、ちょっと調べてみたら・・・
ホルムアルデヒド
→ 住宅の壁紙や床の接着剤とかに使用されているやつ
パラジクロロベンゼン
→ 防虫剤や芳香剤とか
と、具体的になってきました。
さらに身近なもので調べてみますと・・・
「油性マジック」 「柔軟剤」 「香水」 「室内用消臭芳香スプレー」
さて、ここまでくるとピンとくる方々も多いのではないでしょうか。
シックハウス症候群、化学物質過敏症、などはよく耳にしますよね。
最近では 「香 害」 なんてのも聞きます。
これらは、いろんなVOCが関係して起きる症状なんです。
人体に悪いものが受精卵に良いわけない!!
ということで。
当院でも受精卵のお世話をするときに使用する物品は、
すべて水性ペンで記載しています。
では、実際の発表内容がどういうものであったかというと、
このVOCの認知度調査と、
香り付き商品内に含まれている 「マイクロカプセル」
というものの飛散状況の調査でした。
はい、マイクロカプセルです。
え?
名前の通りちっっっちゃいカプセルです。
このちっっっちゃいカプセルは長期間空気中に漂っていることが可能であり、
衣服にずーーっと付着していることもできます。
そして、摩擦などでカプセルが壊れると、
カプセル内に詰められている香料や抗菌剤などが出てくる仕組みです。
(ネット上に分かりやすく説明してくれているサイトとか画像があるのですが…
著作権の問題によりリンクは控えさせていただきますね)
このカプセルの素材にVOCが含まれているため、
カプセルが壊れるたびにVOCが飛散していることになります。
発表者は病院内の様々な場所でこのVOC濃度を計測し、
外来の待合でも多かったことを報告していました。
当院の培養室職員は全職員が制服に着替えて業務を行っています。
(靴下も!)
制服は自宅に持ち帰っていませんし、
制服で院外に出ることも禁止しています。
院内であっても、培養室外に出るときには、原則白衣を着用し、
制服に汚れが付着することを防ぐようにしています。
(厚手生地に長袖なので夏は過酷です…)
また、培養室に入るときには必ず「エアシャワー」と言って、
風によって塵埃を除去する場所を通ってから入室していますよ!
(食品工場の作業員さんとかも入ってる印象ありますね)
実際にVOCの計測をしているわけではありませんが、
できるだけの対策はしていますのでご安心くださいね。