ブログカテゴリー: ドクターコラム

7/19に当院に東京大学の原田美由紀先生をお招きし、多嚢胞性卵巣症候群について講演いただきました。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の病態の特徴については遺伝学的解析にて判明した最近の知見を交えながら、また日本産科婦人科学会より新しく出されたPCOSの診断指針についても一つずつ詳細に解説いただきました。

実際の診療については当院でも取り組んでいる体外成熟(IVM)をはじめ、生殖補助医療における工夫を教えていただきました。私たちも今後の診療に生かしていきたいと思います。

また将来の研究の方向性としてPCOSの発症を促進する因子の解明をしてPCOS発症の予防につなげたいとのことでした。PCOSが予防できる疾患とは思っていなかった私にとってはとても興味深い内容でした。近くPCOSで悩む女性が少なくなる時代が訪れるかもしれません。

とても貴重で有意義な講演でした。

 

5月11日に品川で開催されたART生涯研修 Lab体験コースに参加してきました。

日頃診療するにあたり、ICSIなど培養の知識はあるものの、実際の手技や細かな内容については分からないこともあり、当院のラボによく相談し、助けられていました。またこれまで実際に操作したり、ラボで観察したりする機会がなかったため、ぜひラボの体験をし、少しでも知識を深められればと思いました。そして、当院スタッフの菊地マネージャーが以前から当講習の講師を務めており、心強い味方もあって、今回応募してみました。

ウサギや牛の受精卵を用いて、卵子の取り扱いやICSIを実際に施行してみました。
結果、あまりにも繊細なラボ手技に驚愕し、自分の限界を感じました。

普段から顕微鏡の操作に慣れていないため、まずそこから苦戦・・。ピペットで複数の卵子から1つのみ別のブースに移動するにも複数吸いあげてしまったり、ICSIの際に行う精子の不動化を試みるも元気な精子はすぐにいなくなってしまい、追いかけては見失いを繰り返したり。実際にICSIするにも細胞膜を穿刺し細胞内部にうまく精子を注入出来なかったり・・。

主催者である浅田レディースクリニックの浅田先生が「培養業務は本当に集中力のいる繊細な操作であり、胚培養士の凄さを実感してほしい。」とおっしゃっていましたが、本当にその通りで、根気と繊細さを兼ね備え、日頃から患者さんの卵を丁寧に扱う胚培養士にただただ脱帽だなと感じた一日でした。

医師 西澤 

皆さまこんにちは、理事長の吉田です。

2023年も残すところあと僅かとなりました。
皆さまには本年も一年大変お世話になり、ありがとうございました。

師走にふとこの1年を振り返ると、様々なことが思い出されます。

不妊治療が保険適用化され1年が経過しての問題点や課題に翻弄され、また薬剤の流通不足により、いかに患者様それぞれに最善の治療法を提供するか、日々情報をアップデートし工夫しながらの診療。スタッフ全員が一丸となって鋭意取り組んできてくれたことに深く感謝しています。

なかでも思い出深い出来事としましては、7月27・28日に仙台国際センターで開催された「第41回日本受精・着床学会総会」にて大会長を務めさせて頂いた事です。今回は3年ぶりに念願の現地開催を実現!テーマは「変わらぬ路と新たなる歩み」と題し、昨今の研究や臨床の成果を次の世代へ如何に継承していくかを国内外の教授らからご講演いただき、大変実のある学術集会になったと自負しております。両日通して約1,250名を超す方々にご参加頂き盛会となりましたこと、改めまして心より御礼申し上げます。

今後も皆さまにより良い医療を提供できますよう職員一同努めて参ります。
来年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 

                          理事長 吉田仁秋

皆さんこんにちは、理事長の吉田です。蒸し暑い日が続いていますね。
夏バテを感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この「バテる」という言葉は「疲れ果てる」の「果てる」が語源という説があるそうです。果てないために気を付けたいのが睡眠です。
近年、睡眠の重要性が再認識されています。厚生労働省が2014年に策定した「健康づくりのための睡眠指針2014」には睡眠12箇条というのがあり、その1は“良い睡眠で、からだもこころも健康に”から始まります。解説も付いてますので、気になる方はお時間のある時にでも読んでみてください。
睡眠12箇条 (厚生労働省HPより)

疲労回復のためにお勧めなのがパワーナップ(power-nap)です。
パワーナップとは「パワーアップ(power up)」と「nap(昼寝)」を合わせた造語で、15~20分程度の昼寝のことを言い15時までにとるのが理想だそうです。
健康に良いとされ、仕事などのパフォーマンス向上やストレスの軽減が期待されます。企業でパワーナップ制度として取り入れているところもある様です。
私も疲れがたまってきた週の後半などに、できそうなときは試みています。
皆さんも、ぜひお試しください。
ポイントは深い眠りに入らないこと。アラームのセットをお忘れなく!
皆さんこんにちは、理事長の吉田です。
梅雨冷えが続いていますが皆さんは元気にお過ごしでしょうか。

私は先月の末にオーストリアのウィーンで開催されたヨーロッパ生殖医学会(ESHRE2019)に参加し、座長と講演を行ってきました。夏至後の良い時期でありましたが、日本の梅雨同様にウィーンには欧州熱波がきていて猛暑でした。

学会は4日間に渡り行われ、今話題のタイムラプスや着床前診断(PGT-A)、世界での不妊治療の現状や展望について学びました。どの講演も大変興味深いものでした。私の講演では日本A-PART学会の紹介と日本における体外受精の現況や、がん・生殖医療についてお話しました。

どの学会の講演会でも、参加する度にたくさんのことを学び考えます。昨今は情報が簡単に飛び交うようになり、その情報をどのように判断し利用するかは個人による時代です。私もしっかりしなくてはと気を引き締めています。

テーマ:

広島での学会

皆さんこんにちは 理事長の吉田です。
私は当院の医療技術部のスタッフ2名と一緒に、5月25~26日に広島市で開催された第60回日本卵子学会学術集会に参加し、講演も行ってきました。

全国的に夏日の予想がされていた週末で、広島市内も会場の外はジリジリと夏を思わせる2日間でした。学会のあった広島国際会議場は平和記念公園内に位置し、早朝に公園内を散策した際には今日の平和を改めてありがたく思いました。

私の講演では「体外受精の創成期からART最新の進歩と将来への展望」と題しARTの歴史や最新のART、そしてこれからについてお話しました。
皆さんは、日本で初めて体外受精による妊娠出生が成功したのは東北大学医学部産婦人科であることをご存じでしたか?海外でも稀にしか成功していなかった時代のお話です。そのためここ仙台はARTの聖地と呼ばれています。いわゆるパワースポットですね。
皆さんこんにちは。理事長の吉田です。
元号が『令和』に決まりましたね。
現代は科学技術が発達し、より便利な生活が実現している一方、競争社会・管理社会のなかで現代人は多くのストレスを抱えているとも言われています。
皆さんはどのようにストレスを解消していますか?

どうしていいかわからないという方は『しっかり休み、食べ、寝る』を基本にウォーキングやジョグをお試しください。
3日坊主でも、不定期に1日だけでも構いません。
気が向いたときに体を動かすと気分転換になり、それが少しでもストレス解消になるかもしれません。

私のストレス解消法のひとつは、マラソンです。
先日はマラソン仲間と大河原に行き満開の桜の下を走ってきました。とても気持ちが晴れやかになり、良い気分転換になりました。
皆さんこんにちは。理事長の吉田です。
3月17日(日)に福岡市で開催された第14回日本レーザーリプロダクション学会にて、「当院におけるLLLTの効果と臨床成績について」というタイトルで講演をいたしました。
※LLLT=低出力レーザー治療(Low Level Laser Therapy)のこと

日本レーザーリプロダクション学会は、不妊症に対するレーザー治療の応用について基礎と臨床を研究しており、年に一度開催される学術大会では興味深い講演が多数行われます。
↓日本レーザーリプロダクション学会ホームページ
http://jaslar.jp/

レーザーはそのクラス分けにより医療や工業、産業等に応用されている奥深ーい装置です。
当院でも統合医療の一環でレーザー治療を実施しております。
今年から気軽に受けていただけるプチレーザーのコースも始めましたので、ご興味のある方はどうぞお試しください。
定期的に受けることをお勧めしています。

仙台はまだ寒暖の差があり、春まではもう少しと思いますが、福岡は飛行機を降りるとそこは春の国でした。
暖かくなるのが待ち遠しいですね。

理事長 吉田
皆さま、こんにちは。
仙台ARTクリニック 医師部の片桐といいます。
早速ですが、『遺伝カウンセリング』をご存知でしょうか?私は先日、札幌医科大学で開催された遺伝カウンセリング研修会に参加してきました。

『遺伝カウンセリング』は、遺伝性疾患の患者さんやその親族、あるいは遺伝について不安や悩みを抱えている方々を対象としています。そういった方々やそのご家族のお話しをうかがいながら、遺伝に関する情報・心理的サポートの提供を行い、その後診断を受けるべきか否か、また治療法をきめるためのお手伝いをすることです。

実際、遺伝学的検査の普及に伴い、遺伝カウンセリングが必要とされる場面が急増しているといわれています。
具体的なところでは産婦人科に関連するものとしては、最近マスコミでも登場する出生前診断や着床前診断も含まれます。また、以前ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、がんの予防のために、2013年に両方の乳房、2015年3月には卵巣・卵管の切除を公表して話題となりました。この際の遺伝性乳がん卵巣がん症候群も対象とされています。

挙げた以外でも様々な疾患などが対象となっています。もし気になることや不安なことがあれば遠慮なく声をかけていただければと思います。


医師 片桐