実は2019年から導入しているピエゾICSIですが、ついに機械が増えます。
これで全例ピエゾICSIができるようになります!待ってました!!
当院のICSIの正常受精率も上がるのでは?!
マンモスうれぴぃぃぃ!!!
少し興奮して説明不足でした。
ICSIはご存知、顕微授精のことです。
これまでのICSIは細く鋭い針で
①ぶすっと卵子の殻に突き刺して、
②卵子の細胞膜を引っ張って(吸い上げて)
③針の中でびりっと破ります。
卵子によってはこの過程で壊れてしまうこともあります。
(少々強引に破っていますので…)
そして破れた穴からそっと精子を入れています。
精子を入れる(卵子に刺す)細い針をインジェクションピペットといいます。
↓実際の映像↓
今回話題にしたピエゾICSIは、インジェクションピペットが違います。
ピエゾICSIに用いるインジェクションピペットの
特許情報が公開されていましたので一部載せます。
“圧電素子に連結された慣性体による衝撃力により
微小駆動されるインジェクションピペットにおいて、
圧電素子を駆動する前の卵子の膜の伸展性に優れ、
胚盤胞発生率を向上させることが可能なインジェクションピペットを提供する。”
全部見たい方は↓こちら↓
公開特許
・・・ちょっと何言ってるのか分からないので図解しました。
ピエゾICSIのインジェクションピペットは
①鋭くありません。
②とんとんと刺激して卵子の殻と細胞膜に穴を開けることができます。
今までのICSIのように刺したり引っ張ったりしなくてもいいので、
細胞膜への刺激が少ないと言われています。
↓実際の映像↓
要するにピエゾICSIは今までよりも優しいICSIだといわれていますので、
卵子が壊れてしまう“変性”の現象が少なくなり、
受精率が向上したという報告が多く上がっています。
さらに、調べたところピエゾICSIによって
35歳以上の女性で受精率だけではなく
胚盤胞発生率が改善するという報告もありました。
論文は↓こちら↓
Reprod Med Biol . 2019 Aug 24;18(4):357-361. doi: 10.1002/rmb2.12290. eCollection 2019 Oct.
培養士の性なのでしょう。
成績改善が何よりも好物なので、冒頭のように
全例ピエゾICSIできることに少々興奮してしまいました。
ただし…いいことばかりではなく…
ピエゾICSIはインジェクションピペットの違いですと言いましたが、
インジェクションピペットを変えるだけではできません。
“とんとん”と刺激を起こす機械が別途必要です…。
インジェクションピペットも重要ですが…
実はこちらが非常に繊細な機械でして…。
そうです…ネアガリデス…。
4月の導入を目指していますので、詳細はいずれHPに掲載されると思います。
値上がりしても安いと思えるような成績になるよう技術を磨き、
妊娠率上昇まで目指せるような培養形態を模索していこうと
培養室は意気込んでおります。
あ、ICSIの時間だ。また次回。