今まで染色体や遺伝子等のつまらない基礎の内容ばかりでしたが、
今回はPGT-Aの話です。
↓つまらない基礎の話↓
↓PGT-Aとは↓
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査ってなに?)
PGT-Aは、新しい技術!不成功に光!!みたいな表現をしているものもあります。
PGT-Aをすれば妊娠できる!と勘違いしてしまいそうです。
(↑すこし攻めた表現をしてみました)
染色体を「ヒトの作り方」という本に例えて
PGT-Aとはどんな検査か?ということを再度話していきたいと思います。
(↑過去記事でも「本」に例えているので読むと少しイメージしやすくなるかもしれません)
「ヒトの作り方」は全ての細胞に(ヒトならば基本的に)1~22巻×2冊(常染色体)+付録2冊(性染色体)で合計46冊入っています。
しかしながら受精卵の細胞では、「ヒトの作り方」の3巻が1冊しかなかったり、1巻が3冊以上あったり、付録が3冊ついていたり…
22巻×2冊+付録2冊(46冊)に当てはまらないことがあります。染色体数の異常です。
染色体数の異常は生命維持の観点からみれば非常に厳しい状況ですので、
着床不全や流産の要因となってしまいます。
新しい技術、PGT-Aは「ヒトの作り方」の本の冊数を数える検査です。
受精卵から複数個の細胞を採取して、細胞内の「ヒトの作り方」の数を数えます。
そうすると、1巻が3冊ある!とか5巻が1冊しかない!そんなことが分かります。
あとは10巻の一部が落丁している!とか一部が重複している!ということもわかります。
検査では複数個の細胞を採取するので、この細胞では46冊ピッタリなのに、あの細胞では1冊不足した45冊しかない!ということもあり得ます。
ここでポイントは、本(染色体)しか見ていないということ。しかも数だけ。
要するにPGT-Aは本の数や厚みを数える検査です。
PGT-Aは染色体を数えているだけの検査なので万能ではありません。
妊娠により近い受精卵を選ぶことが出来る検査と理解するとわかりやすいかもしれません。
もう一つ勘違いしやすいポイントがありまして、染色体の検査ゆえに「先天異常がない赤ちゃんを産むための検査」と思われがちです。
しかし染色体や遺伝子以外にも先天異常の要因は沢山あります。
風疹は有名ですよね。 コロナで話題になったアビガンも服用によって胎児奇形を誘発する危険があるようです。
よってPGT-Aによって先天異常の有無を見分けることは難しいです。
PGT-Aを否定しているわけではありませんが(私はPGT-A推奨派です)、
様々な理由からPGT-Aによって妊娠・出産に近づく人は限られてくる技術です。
現在、PGT-Aの臨床研究が進行中です。
上記の理由から対象者には制限が設けられています。
PGT-A臨床研究の対象になっていただける方は、必ずご夫婦で遺伝カウンセリングを受け、 染色体やPGT-Aについてリスクも含めて深く理解した上で、
本当にPGT-Aを施行するのか決定していただきます。
加えて、希望者にはブログ記事よりも分かりやすい、PGT-Aの説明動画をご覧いただきます。
PGT-Aって良くわからない、自分に必要かどうか検討したい等、
お悩みの際は一度当院へ足を運んでみて下さい。